ストーカー規制法が改正!その概要と問題点はどのようなものか?

2016年「ストーカー規制法の改正」がされました。

これは、同年の5月に東京都小金井市で起こった、ストーカー男性によって女子大生が刺されるという事件がきっかけとなって改正法案が出されたとされています。

ここでは、このストーカー事件とはどのようなものだったのか、さらに、改正後のストーカー規制法の概要と問題点をご紹介していきます。

 

女子大生ストーカー殺傷事件

この事件は、ストーカー被害に合っていたアイドル活動をしていた女子大生が、警察に「ストーカー被害に遭っている」ということを訴えていたにも関わらず、

そのストーカー行為が、「ブログやTwitterでの執拗な書き込み」だったので、SNSが警察の規制対象外だったことから、警察がストーカーに対して、警告や規制をすることが出来なかったことが問題となりました。

女子大生は不安を抱きながらも生活を送っていましたが、その後、出演のライブハウスでストーカーの男性にナイフで刺され重傷を負いました。

警察に相談に行っていたのにも関わらず、何もしてもらえずに日々の生活を送らなくてはいけなかった女性の不安は、相当なものだったと想定できます。

では、改正した「ストーカー規制法」とはどのようなものなのかご紹介していきます。

 

ストーカー規制法の改正点の概要

改正前のストーカー規制法では、しつこい電話・fax・メール送信を「付きまとい」として規制対象としていますが、SNSについては規制対象にはなっていませんでした

現代では、むしろSNSでの「付きまとい」の方が主流なのかもしれませんね。

そこで改正案では、こういった事件を防ぐ為にLINE・Facebook・Twitter等のSNSによるメッセージの連続送信や、

個人のブログへの執拗なコメントや書き込みといった「電子通信による付きまとい」を新たに規制の対象にしました。

 

また、ストーカー行為で罪に問われた時の懲役刑の上限を「6ヶ月以下」から「1年以下」に引き上げ罰則も強化しました。

さらに、被害者からの告訴がなくても起訴できる「非親告罪」になりました。
この「非親告罪」には反対意見もあるようで、そこが少し問題になっています。

では、「非親告罪」とはどういったことなのでしょうか。ご説明していきます。

 

「非親告罪」とは

そもそも、「親告罪」というのは、被害者からの告訴(犯罪について被害者が加害者に処罰を求めること)が必要な犯罪の事を言います。

つまり、被害者からの告訴が無ければ、加害者を処罰する事が出来ないということになります。

それに対して「非親告罪」というものは、親告罪とは反対に、被害者からの告訴が無くても加害者を処罰する事ができる犯罪ということになります。

 

ストーカー事件は、周りから見てどんなに怪しい人物に付きまとわれていたとしても、変な電話や嫌がらせがあったとしても、ストーカー被害者本人からの訴えがないと、警察が動くことが出来ませんでした。

ですから、ストーカーによってストーカー被害者が何かしらの被害を受ける前に、周りで助ける為には改正されて良かったように思われます。

ですが・・・昨今ではこの非親告罪であることが問題にもなってきました・・・それはどのようなことなのでしょうか…?

 

「非親告罪」の問題点とは

ストーカーになるきっかけとして、恋愛感情のもつれから、ストーカー行為に至ってしまうことが多くあります。

被害者が、ストーカーに対して迷惑に思っていたり、恐怖に感じているのに、相手の事をよく知っている為に、なかなか警察に行くことが出来ずにいる場合は、

被害者以外の方が代わりに警察に訴えれば、加害者を処罰することが出来る「非親告罪」は有効であります。

 

しかし、ストーカー行為をされたとしても、一度は恋愛関係にあった加害者の事を、被害者が心の中では恨めない場合もあるのです。

「あの人は、いつか元に戻ってくれる…」「仲の良かった頃を思い出してくれる…」などと思ってしまっているケースもあるのです。

そうなると、「非親告罪」を適用して、第三者からの通告によって、ストーカー加害者と被害者の間に警察が入ってしまうことによって、

逆に被害者が警察に対して敵意を向けてしまったり、通告した誰かが分からないことによって、被害者がご自身の周りの人を信用できなくなってしまう…ということが考えられるのです。

すると、警察としてもどこまで介入するべきかの判断が難しくなったり、被害者の方の、ストーカー被害以外での精神面での問題も出てきてしまう可能性があるのです。

 

そのような問題点があり、世間では「非親告罪」にすることはどうなのか…という声もあるようです。

ですが、ストーカーに悩んでいるのに警察に行けないでいる被害者が、ストーカーによって重大な被害を被ってしまう事を未然に防ぐには、必要なことだとも言えます。

ですから、一概に「非親告罪」にすることが良くないとも言い切れませんね。

悩ましい問題となってしまっているのが現状です。

 

いかがでしたか。

ストーカー行為の裏側には、複雑な人間関係が含まれている場合が多くあります。

色んな事情を抱え、悩んで、どうしようもなくなり、被害を受けた方が最終的に助けを求めるのは、警察になるでしょう。

そこで、警察官の方が被害者の方を相手にしてどのような対応をしてくれるのか?

親身になって話を聞いてくれるのか…加害者に対して必要な処置をしてくれるのか…被害者の方にとってはとても重要になってきます。

 

どんなに規制法が変わっても、実際にストーカー行為をやめるようにどのように動いてくれるのかは、相談しに行った警察官頼みになってしまいます。

ですから、警察官の一人一人が、ストーカー被害者の方を助けようと尽力してくれることを切に願います。


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