有責配偶者<女性>が親権を獲得するのは不利なのか?親権を取るには?

女性であっても、夫が家庭を顧みない人だったり、夫に女性として見られなくなったと感じてしまったりして、

軽い気持ちで…とか、寂しい気持ちを埋めたくて…などの理由から浮気をしてしまった…なんてことがあるかもしれません。

ところが、浮気してしまったことが夫に知られてしまった。

どうしても和解することができなかったり、やり直そうとしたのに夫が何かと「浮気したこと」を持ち出してきて、嫌味を言ってくる…

「離婚」という二文字が頭をよぎる事もあるでしょう。

または、夫の方から「離婚」を要求されてしまうかもしれません。

 

理由はどうであれ、浮気してしまった事は事実であるし、夫とは別れることを決断できるかもしれません。

しかし、出来れば子供だけは自分の元で育てたい。

浮気をして有責になってしまった女性が、子供の親権を獲得するのは可能なのか…?

不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、有責配偶者になってしまった女性が親権を取る為にどうしたらいいのかをご紹介していきます。

 

親権とは…?

「親権をとる」とよく耳にしますが、そもそも親権とはどのようなことを言うのでしょうか?

「親権」と一言で言っても、その中には、大きく分けて「子供の財産を管理する権利」と「子供の身の上を監護する権利」があります。

よく、離婚時に親権争いをしているのは、子供と一緒に暮らして世話をし、教育をしていく親の義務「子供の身の上を監護する権利」=「身上監護権」を夫婦どちらが獲得するのかについてを争っているのです。

 

子供にしたら、例え両親が離婚したとしても、二人が親であることは変わりないので「親権」をどちらかだけにする必要はないようにも思えます。

夫と妻の両方が親権を持つことが出来れば、離婚時に親権をめぐって争うこともないのですが、

離婚届に子供の「親権」を夫婦のどちらにするのかを記入しないと、役所で離婚届を受理されないのです。

ですから、子供の親権をどちらかに決めないと離婚できない為、「離婚する際に子供の親権を夫婦で争う」ということになってしまうわけです。

離婚は、夫と妻の本人同士の同意があれば決定する事が出来るとしても、「子供の親権」となると、

夫と妻だけの問題ではなく、子供の意思や、祖父母の想い、子供を育てる環境が整っているのか…など色々な問題が複雑に絡み合っていて、夫婦の話し合いだけではすんなりと決まらない場合もあります。

そうなると、調停や裁判でどちらが親権を取るかを決定していくことになります。

 

では子供の親権を決定する時に、どのような基準があるのでしょうか?

ご紹介していきます。

 

子供の親権を決める基準とは

調停や裁判で子供の親権を夫婦のどちらが取得するのかを考える時に、基準になる項目があります。

・子供が乳幼児の場合は、母親の監護を優先させる

・子供の養育費や生活費を確保できるだけの経済的能力があるのか、資産があるのか

・現状として、子供を養育監護(子供を教育して、世話をしている)者を優先する

・子供が15歳以上で未成年である場合は、子供の意思を尊重する

・血のつながった兄弟・姉妹を別々に離さないようにする

 

これらの基準を考慮して決定していきますが、

子供の親権を決定する際には「子供の福祉」が重要な判断基準になります。

次は、「子供の福祉」についてご紹介していきます。

 

「子供の福祉」とは

上の判断基準を満たしていたとしても、「子供の福祉」を害する行為を行うと、

親権を獲得するのは難しいほどの影響力があります。

では、「子供の福祉」とはどのような事を指しているのでしょうか?

 

「子供の福祉」というものが法律で定められている訳ではありません。

「子供の福祉」とは、子供が絶対的に保護されるべき対象であることを指し、

その考えの上で、その子供がどこで成長していくのが最適なのか、その子供にとって親子関係がどうあるべきなのかを、

その家庭の事情を考慮しながら、大人が見極めていくこと…です。

 

「子供の福祉」について、例えばこのような例があります。

子供の環境を変えない

どんなに子供にとって良い環境であっても、今まで住み慣れたところを離れて新しい場所で暮らすことは、子供の気持ちを不安定にさせたりする可能性があります。

ですから、現在住暮らしている環境が、子供にとって精神的に安定している環境であるのならば、

子供に影響を与える可能性がある「新しい場所で暮らす」という事は、敬遠されることが多くなりますので、現在一緒に暮らしている方が親権者となる事が多いでしょう。

このことを逆手に取り、親権を取る為に、離婚する前に子供を連れて出て行ってしまい、調停や裁判の時には子供が新しい環境に慣れてしまっているという事もあるようです。

 

子供の成長する環境

上で、「子供の環境を変えない」ことが尊重されると書きましたが、

いくら環境を変えなくても、子供が成長する上で環境を変えた方が良いと判断されると、そちらが優先されることもあります。

例えば、兄弟が別々になってしまっている…親の帰りが遅く子供が一人の時間が多くなってしまう…経済状況が不安定…

などという場合は、子供の人格形成に影響があるとされ、より子供が安定する方を優先される傾向があります。

 

子供の意思

15歳以上の子供は、自分でどちらの親につく方が自分にとって良いのかの判断能力が備わっていると考えられ、子供の意見が親権の決定に尊重されます。

15歳未満の子供は、その子供がどちらかの親に対して、激しく怖がっていたり、極端に嫌がっていたりする事がなければ、自分の将来の為に判断する能力が乏しいとされ、

子供の意思は尊重されても、子供の幸せを考慮された時に、必ずしもそちらの親が親権を取ることが出来るとは限りません。

 

離婚後の子供との交流

子供への虐待があった、両親が顔を合わせることが出来ない程憎みあっている…などの特殊なケースを除いて、

子供の人格形成の為には、両親と触れ合って、両親両方からのそれぞれ異なった愛情を受けて育つのがいいとされています。

そもそも離婚する事自体が子供の人生にとって不利益とされますので、どちらが親権を取ったとしても、

不定期であったとしても、両親と交流を認めるのが基本的な考え方です。

 

「子供の福祉」とは、子供が健全に成長していく為に、より良い環境を選ぶことが出来る「子供が持っている権利」であるという考えもあり、

親は、自分の親権を持ちたいという気持ちよりも、子供の権利を尊重しなければならないということになります。

親は、子供を見守る義務があっても、子供を自分の支配下に置いていい訳ではありません。

どんなに小さな子供であっても、一人の人間として尊重されるべきであるのです。

 

では、有責配偶者である妻が親権を獲得する為にはどうしたら良いのでしょうか?

有責配偶者の妻<女性>が子供の親権を取る為には

まず、「有責配偶者が親権を取ることが出来るのか」についてですが、

例えば浮気した妻の交際相手と子供仲が悪かったり、妻が交際相手に夢中になっていて子供を顧みない場合などは、

子供に与える影響にとって良くないこととしてマイナス要素として捉えられる可能性はあります。

ですが、これまでご紹介してきたように、子供の親権を決定する上で、一番重要な事は「子供の福祉」が守られる事です。

ですから、夫婦のどちらかに浮気したなどの離婚原因になった要素があったとしても、

浮気したという有責の要素だけで、子供の親権を決定する訳ではありません。

浮気に対しての法的な責任は、子供の親権を手放すことではなく、慰謝料を支払う事になります。

 

親権については「子供が夫婦どちらの環境の元で成長していくのが良いのか」を見極めることになりますので、

親権を取りたい場合は、子供の成長にとって相手よりも良い環境であることを主張していくことが重要です。

 

例えば、両親(子供にとっては祖父母)の協力があるとか、仕事や休日の安定とか…を主張していきます。

 

しかし、夫婦のどちらに親権を決定するに当たって甲乙つけがたい場合には、

離婚の原因を作った側=浮気した方に責任があるとして、親権の決定をされる場合もありますが、これは最終手段となります。

 

そして、これはすべて「離婚裁判」なった場合の話です。

まずは、「夫婦で話し合う」という事から始まります。

夫婦の話し合いで合意に至らないと、調停を申し立てて、家庭裁判所での話し合いの場が持たれます。

そこでも、合意に至らない場合にのみ、調停を打ち切って裁判所による「離婚裁判」によって決定していくことになります。

 

いかがでしたか。

子供の親権となると、お互いに相手のあら捜しになったり、子供の幸せを考える前に相手への感情が表立ってしまうこともあるでしょう。

しかし、子供にとってみれば、理由がどうであれ「両親が離婚する」だけで「子供の福祉」を害しているのです。

ですから、最終的に夫婦のどちらが親権を取ったとしても、子供の成長にとって、離婚後もお互いが努力していくことが、一番重要な事になることを頭に入れておいていただきたいと思います。

 

お子さんにとって、より良い選択が出来るように、夫婦で話し合えると良いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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